糸島市曽根。卑弥呼の時代、伊都国の中心だったと伝わる平原遺跡のすぐ近くに薦田雄一(こもだゆういち)さんは、工房を構えている。
51歳。先祖代々、糸島の水源、井原山の麓で暮らす森の民。
今は木工細工の作家、そして、父の代からのガチのキコリである。
今回は突然、連絡を取ったにも関わらず、快く取材にOKしてくれた。
「私でいいんですか?」
いいに決まっている。
糸島では、知る人ぞ知る、山、森、木(それ以外も)に携わる人なら「あー、コモちゃん?」と言われる大変な人気者なのだから、、。
山里の西堂という集落で、3人兄弟の次男として生まれ、小学生の頃から 兄と共にチェーンソーを手に、山に入り家業をを手伝った。
ご本人としてはイヤイヤだったが、少年期から成人後、様々な職業に就きながらも、山との関わりは持ち続けたという。
そして40歳、今までの経験を活かし、木工細工を始めることになる。
当時、その技術を教えてくれる人は、誰もいなかったので、ほとんど独学で技術を習得していった。
一番最初に作ったのは、笛ペンダント。
軽く吹くだけで、甲高いが、木材特有のやわらな音を発する。
たまたまその時期に、自然災害などが頻発した為、各地から問い合わせがあったという。
以後、経験によって知り得た樹木の特性を生かした作品は、地元糸島のみならず、全国の多くの人から愛用されている。
日々、工房に籠って木工細工の作業に従事しながら、山に入る生活。
春から夏、秋にかけての下草刈り。
秋から春にかけては、本格的な間伐作業。
ひたすら「森と木」に向き合う人生。
そんな薦田さんは、数年前から「THINNING」という山を想うマーケットイベントの実行委員として活動している。
「THINNING(シニング)」とは、日本語で「間伐」という意味である。
以下、HPからの引用
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THINNINGは、楽しいMARKETの場を提供し、山の問題を多くの人に知ってもらうためのイベントです。
日本全国には、陽の光が差し込まず土壌が弱くなり、土砂災害などの危険性がある「荒廃林」が数多く放置されています。
間伐(かんばつ)は、適切に木を伐り倒すことで、暗い森の地面に陽の光を届け、健全な森を取り戻すための作業です。
しかし、間伐を続けていくためには、間伐した木材(間伐材)の流通をつくり、森を手入れする“きっかけ”を作り続けなければいけません。
私たちは、この現状を少しでも多くの人に知ってもらい、民間でもできるアクションを考えるきっかけにしたいと思っています。
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美しい自然に恵まれた糸島。
次世代の子供たちには、もっと豊かな場所にして引き継ぎたいものである。
最後に、
放置された山を荒らすと言われている竹林について、薦田さんは、こう言った。
「竹はですね、荒れ果てた森を浄化する為に繁殖するという説があるんですよ。荒れた森とは、風の谷のナウシカに出てくる腐海みたいなもの。そうして200年に一度、竹は花を咲かせて役目が終わったら、一斉に枯れてなくなる。。決して悪者じゃないんです。」
すべての生物には、その役目、、生きる意味があるんですね(涙)。本当にありがとうございました。
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外部リンク