あたしたちみたいな生活ってさぁ。普通の人とは違うのよね?
それもいい方に違うんじゃなくて、、
なんて言うのかなぁ、あってもなくてもどうでもいいみたいな、
つまりさぁ、泡(あぶく)みたいなもんだね?
今回のマドンナは、浅丘ルリ子演じる「松岡リリー」
本名、松岡清子。
旅回りのキャバレー歌手である。
いわゆる「リリー3部作」の記念すべき初回作品となる。
出会いは、北海道の網走。
とあるレコード店の前。
寅さんと言えば、日本中の名勝地をバックにして、お得意の口上を駆使。
ありとあらゆるものをジャンジャン売りさばいているイメージがある。
が、この時の寅さんは、全然違う。
不況続きのレコード屋が手放した不良在庫を一生懸命売ろうとするが、誰も振り向きもしない。
珍しく、職場で途方に暮れる寅さん。
そこに現れたのが、網走のキャバレーで歌を歌っているリリーだった。
「なんだい、全然売れないじゃないか。。」
運命の出会いである。
若い頃からフーテン暮らしを送っていた寅次郎と似た境遇の女性であり、はじめて寅次郎とケンカができるマドンナである。
いつもは有頂天となる寅さんも、似た境遇のリリーの気持ちがよくわかるだけに、浮つくことはない。
お互い好意を持っており、しかもかみ合う。。。
それだけに、伸展しない。。
以後、リリーと寅さんは、シリーズ屈指の名シーンを数多く生み出していくことになる。
本作では、北海道の大自然が何度も映し出されるが、リリーの存在感がそれを凌いでいるようにも感じられる。