第1作は、14歳で家出した寅次郎が、20年ぶりに故郷の柴又に帰ってくる場面から始まる。
久々の寅次郎の帰郷を、団子屋「とらや」を営む親戚のおいちゃんとおばちゃん、妹さくら(倍賞千恵子)は涙ながらに大歓迎。
なのに、さくらの見合いの席を、酔った挙句にぶち壊した挙句、おいちゃんと大喧嘩。
あっというまに柴又を出ていってしまう。
1か月後、寅次郎は旅先の奈良、東大寺二月堂で、幼なじみの冬子に再会する。
子供の頃「デメキン」呼ばわりした冬子は、和服の似合う美しい女性に成長していた。
寅さん一目惚れ~失恋までの必勝パターン。
記念すべき「エピソード1」である。
冬子を演じたのは、光本幸子。
当時、日本舞踊・藤間流の名取として知られていた。
テレビや映画には出ない、バリバリの舞台女優が抜擢されたのである。
男前の寅さんのはずが、
「2度と故郷へは帰らねぇ」
なんてことはなく、冬子とともにサクッと地元の柴又へ。
寅次郎自身は、簡単にフラれるが、妹さくらは「とらや」裏の工場勤めの青年・博と結ばれる。
2人が結婚式を挙げたのは、料亭「川甚」
江戸時代創業の実在する川魚料理の老舗である。
実家を飛びした博と縁を絶っていた父役の志村喬の宴席でのスピーチが、この映画のクライマックスである。
「この八年間は、私達にとって長い長い、冬でした・・・そして今ようやく皆様のおかげで、春を迎えられます・・・」
ということで、妹の幸せだけ見届けて、寅次郎は再び旅に出る。
エンディングは、それから1年後。
日本三景・京都の天橋立にある「智恩寺」境内のシーン。
山本直純作曲の主題歌にのせて、寅さんの口上が流れる。
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七つ長野の善光寺
八つ谷中の奥寺で
竹の柱に萱の屋根
手鍋下げてもわしゃいとやせぬ
信州信濃の新そばよりも
あたしゃあなたのそばがよい
あなた百までわしゃ九十九まで
共にシラミのたかるまで、ときやがった
どうだチキショウ!
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意味などない。
懐かしい景色を眺めながら、
笑って、泣いて、怒って、泣いて、笑って、怒って、泣いて、笑う。。。
寅さん映画の真骨頂は、1作目から出来上がっていた。
ちなみに主題歌の歌い出し、
俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ、分かっちゃいるんだ妹よ~
は、さくらが結婚したのでこれが最初で最後である。
【外部リンク】
https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/
http://www.todaiji.or.jp/contents/guidance/guidance6.html
http://kawajin.co.jp/history.html