三重県伊賀市
主祭神:大彦命(おおひこみこと)
創建は、西暦658年。
かつて伊賀一帯を治めた古代豪族・阿閇氏(敢氏/阿閉氏/あべし)の氏神として祀られたのが始まり。
当初は、古代より自然崇拝の対象となっていた南宮山(伊賀富士)の山頂にあったが、後に現在の場所に移されたと伝わる。
主祭神・大彦命(おおひこのみこと)は、第8代孝元天皇の長子で、阿閇氏や、飛鳥から平安にかけて大臣級の高官を輩出した名門氏族・阿倍(後に安倍)氏のご先祖様である。
ここで紹介したいのが、大彦命が第10代崇神天皇から「四道将軍」とひとりに任命されていること。
「四道将軍」とは、『日本書紀』に登場する4人の皇族将軍のことで、近畿地方に限定されていた王朝の勢力をさらに広げる(従わなければ討伐)ため各地に派遣された。
武渟川別命(たけぬなかわわけのみこと)は、東海。
吉備津彦命(きびつひこのみこと)は、西道。
丹波道主命(たんばみちぬしのみことは、丹波。
で、大彦命(おおひこみこと)は北陸。
日本書紀の話なので真実は定かではないが、記述にある初期ヤマト王権の支配が広がる様や将軍たちが辿ったルートと、実際の前方後円墳の分布経緯は、ほぼ一致している。
余談だが、北陸道を平定した大彦命と、東海道を平定した建沼河別命が合流した場所につけられた地名が「会津」と言われる。
無事、地方平定を果たした山彦命は、伊賀の地に移り住み一族の基盤をつくった。
で、もうひと柱の祭神は、少彦名命(すくなひこなのみこと)。
弥生時代に渡来し、山城国(今の京都)一帯に住み着いた秦氏の氏神である。
阿閇氏と泰氏の融合で、伊賀は独特な文化を形成していくことになる。
そういえば江戸時代の歌人・松尾芭蕉は、伊賀出身。
やっぱ忍者だったかもね。忍者だよ。
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